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伊豆七島 八丈島 ポイント紹介

 東京から南に約290㎞、伊豆諸島最南端のに位置する八丈島は周囲約60㎞、面積68平方㎞、八丈富士と三原山の2つの火山からなるヒョウタン型をした年平均気温18.2度の亜熱帯性気候の火山島です。
 ダイビングポイントは伊豆諸島随一の人気ダイビングエリアだけあり、ビーチダイビングが10カ所、ボートダイビングは八丈小島を含めると数十カ所にあり、カメや回遊魚などの大物からユウゼンやレンテンヤッコなどの八丈島周辺の固有種が数多く観られます。

 潮の流れが複雑で、時として流れが速すぎて潜れないこともあるので、一般ダイバーはガイドをつけて潜るのが通常です。 「透明度抜群のダイナミックな海です」と一口ではよく言われますが、それだけではありません。見られる魚の種類は300種以上黒潮の影響で南の沖縄系の魚から、伊豆半島などで見られる温帯種八丈島近海でしか見られない固有種など水中はバラエティーに富んでいます。しかもナズマドに代表される潮通しの良いポイントではビーチダイビングでハンマーヘッド・カツオの大群・トビウオの泳いでいる姿、ウミガメ・イソマグロ・ニタリ・バンドウイルカ・オキゴンドウクジラ・カジキマグロなども見られます。もちろん全ての条件がそろわないと出会うことは出来ませんが、それでも確率はかなり高いと思います。

 水中地形は溶岩が流れ出た影響でアーチありトンネルあり洞窟ありでとにかくダイナミック。40メートルのドロップオフや海面すれすれまでそびえ立つ巨大な根、どのポイントで潜っても我々ダイバーを飽きさせない奥の深い海です。

ナズマド
 八丈島を代表するポイント。潮通しがよく大物が期待できます。沖きに向かって、エントリー口から240度に馬の背という根が張りだし根沿いに沖へ向かうのが一般的なコース取りですが、潮の流れる方向によって右回りか左回りか決めます。

マツシ根(南原千畳敷)
 出入りが非常に難しいポイント。エントリー口は海藻でぬるぬると滑り、ちょっとでも波があるとひっくり返ってしまうほど波には弱いポイントです。マイナーポイントですが水中は沖に向かって一本大きな根(マツシ根)が続いていて先端にはイソマグロも出現する潮通しのよいポイント。クマノミも多く、沖の離れ根にはイソバナがきれいに付いています。また100%ユウゼンに出会えるポイントです。テングダイやタカベの群は見事でタルダカラなどもけっこう見つかります。伊勢エビが多い場所としても有名です。

休憩所下(大潟浦)
 ダイナミックな八丈島を代表する岩場エントリーのポイント。駐車場周りにはシャワーやトイレの設備が充実しバーベキューなどをやるコーナーもあり芝生で昼寝もできる。岩場の坂を下りていくときに足下がぐらつくので注意。エントリーもかなり足場が悪いので転んですりむかないように。エントリーするところは非常に狭い通路で他のグループと一緒になったら上がり優先。潜降してすぐ目の前に大きなトンネルが…水深7mほどですが奥行きは結構ある。ハタンポの群やイットウダイ、サザナミヤッコもいるときがあります。ここのクマノミは思いっきりたくさんいます!

ヤケンガ浜
 ヤケンガ浜はあまり知られていないマイナーなポイントというイメージがあるが、それはエントリーが岩場で段差がかなりありタンクを担いで平気で行くことが出来る人が少ないので、結果的にあまり行かなくなってしまったから。しかしポイント的にはものすごく複雑な水中地形とアーチがふたつ。クマノミポイントも数カ所あり近場から遠くまでけっこう楽しめます。レンテンヤッコやユウゼン、クマノミもコンスタントにみれてアーチも楽しめ、大きな砂地があるのも特徴的です。

旧八重根港
 エントリーはスロープ右からロープエントリーします。八重根という名前のとおりいくつもの根が複雑にからんでいて地形も楽しめます。湾内は水深3~5mとプレッシャーもなく、アーチはソフトコーラルの見応え十分。1年中クマノミが観察できイボハタゴイソギンチャクなどにはカクレエビがいっぱいついています。マクロ系の生物層が豊富で、各ウミウシをはじめフリソデエビ、イザリウオの仲間、ハゼの仲間等が頻繁に観察されています。初夏、秋口にはムロアジの群、カンパチ、ツムブリ等の回遊魚、冬季、春先の低水温時には巨大ウシエイ等の大物に遭遇できます。

乙千代ヶ浜(右/左)
 乙千代ヶ浜は三原山側の古い地質で構成されたおり、比較的新しい地質の八丈富士周辺のゴツゴツとした根の景観とは違った浸食によるシャープに切り立った根の景観が楽しめます。

[右] 急な崖道を降りていくと目の前に「畳み根」が見えてくる。この根の真下には巨大なトンネルがあり、イワシやキビナゴの群れが入り込みそれを追いかけてムロアジやカンパチの大群が出現することも… 見所はトンネルと右側のショートドロップの岩のアナの中。水中ライトは欠かせない。ショートドロップの手前の浅場にはコケギンポがたくさんいます。

[左] ここは沖にかなり深めのドロップがあるので有名。そのドロップに行くまでには通称「クマノミ街道」と呼ばれるクマノミの大群生地が広がっていて、起伏の激しい溶岩の地形と相まって独特の雰囲気を漂わせる。ドロップの先端ではイソマグロやキハダマグロ、時にはハンマーヘッドなども現れます。ナズマドに匹敵する超大物ポイント。根回りをしているとテングダイやツバメウオ、カメとの遭遇率も高くビーチとしてはけっこういい思いが出来るポイントです。

神湊
 最大水深6~ 7m。波もなく穏やかなためおもにダイビングの各講習や体験ダイビングに使用されます。また、台風が直撃しないかぎり潜れるので他のポイントが全てつぶれても利用することができる「お助けポイント」です。おもに観察できる生物は、オヤビッチャ、ギンガメアジ、クサフグ、ボラ、ハナミノカサゴ、ツマジロオコゼ、ベラ科の幼魚、オトヒメエビ、アオヤガラ、etc…

あら池
 現在は閉館したホテル「旧プリシアリゾート」の目の前に位置するポイント。エントリーエリア付近はタイドプールになっており真水が湧いている部分はかなり冷たく、水中でサーモクラインが発生しています。真水が湧いているので、他のポイントでは見られないマニアックな生物も見られます。運が良ければコナユキツバメガイが見られるかも。水中景観は白砂が広がり所々に根が点在するという、他のポイントにくらべ女性的イメージで魚影は薄目。エントリー・エキジットは岩場のため少し大変です。

底土
 底土のポイントは島の東側に位置し、南西の風のちょうど反対側に当たるため夏場のメインポイントとなります。水中は最大深度20mで、三又のアーチが有名なポイント。流れもあまりなく水深も浅めなので初心者でも安心して潜れるポイントです。沖合の三又アーチは、下が魚礁になっておりテングダイ、サザナミヤッコなどの魚たちが沢山根付いて、アカハタ・レンテンヤッコ・セダカスズメダイキタマクラ・カサゴなどがダイバーに近寄ってきます。他に、サザナミヤッコ・アジアコショウダイ・スミツキゴンベ・イナセギンポ・タスジコバンハゼ・セダカギンポナメモンガラ・クロユリハゼ・アオギハゼ・ユウゼン・ミナミハナダイ・ハタタテハゼなどが綺麗さでは目を引きます。キビナゴが入っているとカンパチやツムブリ、時にはスマガツオも観られます。特に捕食シーンは迫力満点です。

■八丈島の固有種

ユウゼン
 「八丈な魚」の代表格で八丈島にダイビングをしにやってくる人の多くが必ず見たいと思っている魚です。図鑑などで見ると真っ黒で地味目な魚に見えてしまいますが、本物は感動するくらい綺麗な魚です。友禅織りから名付けられたユウゼンという和名に納得です。日本固有種で八丈島近海から小笠原付近にもっとも多く生息し、体色は黒色に白色の斑点(はんてん)が散在し、背鰭、尻鰭、尾鰭の縁に黄色をおびています。 ペアで餌をついばんでいる姿をよく見かけますが、近づいても逃げないのでじっくり観察することも撮影することも容易です。春や秋には「ユウゼン玉」と呼ばれる50匹~数百匹の大群になって行動することがあります。海水魚を飼う「アクアリスト」たちにとっては何万円もする「憧れの魚」だそうです。

レンテンヤッコ
 英名では「ジャパニーズピグミーエンゼル」と呼ばれ、ほぼ日本の固有種と言っても良い温帯適応種。八丈島ではごく普通に観られます。体色は、前半がオレンジ色、後半が群青色、尾鰭は黄色い。ベースはオレンジ色で、青紫色の小紋が無数に入っています。後ろ半分は青紫色の割合が高くなる。体色に個体差がみられ、青みの多いもの、黄色の強いものもいます。体色のグラデーショ
ンが実に美しく雌から雄に性が変わる(性転換)。雌性成熟で、生まれたときはすべて雌。雌は顔のオレンジが強く、雄になると背びれや臀ビレの後に黒いラインが入り、顔には青い斑が増えます。

アオウミガメ
 亀は万年と言われますが、寿命は大体70年~80年で、成長すると体重は150kgにも達します。雌は65歳までに約2千個の卵を持っていて、3ヶ月に2回産卵します。アオウミガメはウミガメ類の中では唯一草食性の種です。他にクラゲなどの底生、浮遊性の無脊椎動物や魚卵なども捕食する雑食性です。現在絶滅危惧II類に指定されています。その原因として護岸工事による産卵場所(砂浜)の減少、トロール漁法や延縄漁法による混獲、ビニールゴミの誤食、食用・剥製用の捕獲があり、卵を盗掘されることもあります。保護されている処もありますが、極一部で満足できるまでには至っていません。 コンビニやスーパーなどで渡される白い袋をクラゲと間違えて食べて腸閉塞を起こしたりすることがあるので、ダイバーとしては、ビニール袋やライターなどを絶対に海に流したりしないようにしたいですね。

■八丈島のシーズナリティ

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